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2014年4月25日

蜃気楼(シンキロウ) 板橋

Sinnkirou

蜃気楼」(シンキロウ) 

001_2 今回は、みにに同行した寝太郎による、代打レポートになります。

板橋の住宅街にあるこちらは、前から気になっていた、いわば宿題店。

マニアックな四川料理が食べられると評判らしい。

料理ばかりでなく、たったひとりで切り回すご店主(シェフ)の強烈な個性も身上のよう。

そのユニークさを体感したいという好奇心にも駆られて、みにとともに、

活動領域外である板橋の駅に降り立った。

電話予約のさい、コースについての説明はなかったが、

あとでネットの口コミを見たところ、お勧めの料理を数品、前菜から〆まで

ひととおり頼む、というスタイルが一般的、というか、どうやらそれが不文律らしい。

結果的に、ゆるやかなコースを頼んだ形になるのだろうと推測。

しかし、ざっと見たかぎり、ドリンク以外に料理一品の値段の手がかりはなし。

人手がないので料理を出すにも時間がかかり、ひととおり食べ終わるまで3時間は

見込むべし、というアドバイスも複数見かけたし、はてさていったいどんなディナーに

なるものやら、不安と期待を抱きつつ、店へ向かった。

ドアを開けると、すぐ目の前がカウンター。

壁に貼られた品書きの朱文字や、どっかり鎮座した紹興酒の甕が目を惹く。

丸太の椅子を見下ろす天井にはシャンデリア、壁には赤い中国提灯や

バリ島のお面が飾られ、他にもアジアの土産物らしき小物があちこちに散見される。

「なんのお店だかわからないでしょう」

店内を見回した我々に、ご店主はそう声をかけた。

ひとりでマニアックな料理を作っている――その情報から気難しい親父を

イメージしていたが、人当たりは柔らかだ。

「今日はキャンセルも出たから、奥の座敷に荷物を置いてもらってもいいですよ」

そんな提案もしてくれた。

写真の奥の暗がりは小上がりになっていて、小さな丸いちゃぶ台がひとつある。

街の小料理屋といった感じの造りで、小上がりの左手にあるトイレは昔ながらの和式。

カウンターに、ずしりと重い丸太は6本、つまり6席。

卓上には、取り皿の上に箸、赤いタオルのおしぼりはカウンターごしに手渡しで。

冷菜盛合せ(大連クラゲ、チャーシュー、豚耳の煮こごり、トマト)

まずはビールの中瓶(エビス)と、定番らしき冷菜の盛り合わせを頼む。

写真だとわかりづらいかもしれないが、けっこうなボリュームだ。

ノブローが小さく見える。

右側に半分だけ写っている小皿は、オリジナルのタレ。

酸辣醤に中国酢、中国醤油をブレンドしたものだそう。

「クラゲとチャーシューはそのままで、豚耳の煮こごりにつけてください」とご店主。

クラゲはこりっこりの歯ごたえ、厚切りのトマトはしゃっきり。シンプルで品のよい味付けだ。

チャーシューはもも肉だろうか、脂身のない部分で、歯触りもほどよく、これも優しい味。

みには、豚耳の煮こごりが気に入ったよう。目に美しく、味もよいとの感想。

そのままでも充分いけるし、タレも合う。

いずれも素朴ながら手作り感があり、好感の持てる味だ。

クラゲの戻しには丸1日、チャーシューは仕込みに3日かかるという。

手間をかけてくれているのだ。

夜だけの営業のこちらのお店、今日の客は自分たちひと組のみ。

料理をしながらも、ご店主はいたって気さくに話しかけてくれる。

下町の、飾らない、昔ながらの洋食屋や中華屋、いわゆる食堂というジャンルの店で、

じっくりゆっくり酒を飲むのが一番好きだそうで、こないだはどこそこのこのお店へ

行ったよ、と携帯で店やラーメンの写真まで見せてくれる。

ここ何年かは、そうした飲み歩きの場所として、関西にはまっていると、

東京の書店ではめったに売っていない関西のタウン誌のバックナンバーを見せてくれた。

その間に、ビールはあっという間に空いてしまったので、紹興酒を注文。

紹興酒 蜃気楼オリジナルブレンド @400

グラス売りのみ。

こちらは、浙江省で買い付けた紹興酒をブレンドしたものだという。

何年か前から、ご店主は毎年、仕入れを兼ねた食べ歩きに中国へ出向いている。

そもそもこちらの店、四川料理店として世間には知られているが、

彼自身はそう思っていない。

いわく、お客さんの好みに合わせて献立を変えていった結果、

四川料理がメインになってしまったのだ、と。

「この前菜は、広東料理ですよね?」

言われてみればそのとおりである。やはりユニークな店だ。

四川料理を研究するため中国通いをはじめたらしいが、現地での食べ歩きも

大きな楽しみになっているそうだ。

こちらのお店、構造上の理由で、キッチンからカウンターの側に回るには、

いったん勝手口を出て、店の入り口を入ってこなくてはいけない。

彼はわざわざこちらへ回ってきて、最近ではあまり見かけなくなった

分厚いアルバムを開き、四川旅行の写真を見せてくれるという熱の入れよう。

紹興酒のブレンドをはじめるようになったエピソードも聞かせてくれた。

中国で酒を買ったさい、近所から店に買いに来たとおぼしき老人が、

甘口と辛口、2種類の酒を混ぜてもらっているのを見て、ぴんときて、

自分でもやってみたところ、旨かった。

「焼酎の前割りあるでしょう。あれとおなじでね、ある程度寝かせておくと、

なじみがいいんですよ」

なるほど。甘口と辛口が合わさって、深みのあるマイルドな味わいに感じられる。

しかし、酒ばかり飲んでいるわけにもいかない。つまみがなくなってしまったのだ。

話の腰を折るようで気が引けるが、つぎの料理を注文した。

羊肉の水餃子である。

羊肉水餃子

手作りの皮に、スパイスの効いた餡。

滑らかな皮の食感もばっちりだし、羊肉も臭みがなく、クミンなどのスパイスの

印象も鮮やかだ。

上にかかったタレと香菜もベストマッチ、と、みに。

今回は皮を小麦粉だけで作ったが、タピオカ粉を入れてもっともちっとさせる

アイディアもあるそうだ。 それも旨そうではないか。

(ノブロー) でえ好きな羊を餃子で食べられて、満足だでYodare

 

これにはタレがかかっているが、前菜に出された小皿のタレも、まだキープしてある。

みには気に入ったようで、酸味と辛味のバランスや味の開き方が現地っぽいとコメント。

さて、この水餃子を食べたところで、すでに1時間半ほどが経過していただろうか。

トークに耳を傾けるうち、気がつけばずいぶん経っていた。

近場でもないので、ぼちぼち〆をお願いしよう。 そう判断し、麺を頼むと、

「もう〆にしちゃいますか。もう一品どうですか。揚げ茄子。これ、うちの一番人気で、

常連のOLの子は、これ食べないとはじまらないって必ず注文するよ」と提案される。

みには、貼り紙のメニューに麻辣豆花を見つけたので頼もうとしたのだが、

残念ながら要予約とのこと。自家製だからだろう。

ちょっと悩んだが、品数も少ないことだし、ご提案に乗ってみることにした。

炸茄子(ナスのパリッと揚げ)

衣をつけて揚げた茄子に、クミンなどのスパイスがまぶされている。

ブラックペッパーが効いた、スパイシーな揚げもの。

揚げたエシャロットや胡麻も振りかけてあり、上には香菜がたっぷりだ。

外はかりっと、なかはとろっと仕上がっている。

ピーナッツも添えられており、酒のつまみにはもってこいの献立かもしれない。

しかし、やや塩気がきつすぎて感じられた。

それでまた紹興酒が進んでしまう。

こちらの店、日本の飲食店としては珍しく、ワインの持ち込みが可能。

1本につき、持ち込み料は1,000円だ。良心的と言えるのではないだろうか。

ネットのレビューにもあったのだが、気づくのが遅く、用意できなかった。

やはり予習は大事ですな。

燃面

ご店主の話は尽きないが、茄子を頼んだあとで、〆の麺を注文する。

こちら、担々麺も名物らしいのだが、今日のお勧めは、燃面。

「担々麺より辛いですよ」とのこと。

担々麺にも心惹かれるが、

みには、まだ食べたことのない燃面を食べたいと迷いがなかった。

最初に写真を撮っていいか訊ねると、ご店主は快諾してくれた。

その後は、料理をサーブするたびに

「写真撮らなくていいの? 忘れちゃう人もいるんだよね」と気にかけてくれる。

いい人なのだ。

(ノブロー) これが燃面だか。汁なし担々麺とおなじ、拌麺だな。

ぱっと見じゃ、ちがいはわからねえ。さっさと食うてみるだよRamenn

 

具材は豚挽肉に芽菜、ピーナッツ、青ネギ。タレはすでに麺とからめられている。

「混ぜるの下手な人多くてさ、見てらんないんだよね」とご店主。

わはは。しかし、具材をこぼさぬよう拌麺をしっかり混ぜるのって、

たしかにけっこう難しいよね。

食べてみると、山椒と海老粉がふわっと香った。麺はもちっとした太麺。

肉はごろごろ入っている。

以下、みにの感想――。

しっかり辛い(じんわりした辛さ)。

ただ、もっと辛いと思ったけれど、問題なく箸が進む辛さだ。

麺の太さやたっぷりした肉の感じは中国家庭料理楊2号店を思い出させる。とのこと。

味に変化をつけるためか、彼女はキープしていたオリジナルのタレを最後にからめて完食。

私も最後まで美味しく食べた。スパイスの塩梅がいい。

ご店主によれば、中国山椒について銀座の趙楊さんに教えてもらったのが、

四川料理を食べ歩かねばと一念発起したきっかけなのだという。

修行時代の話は聞いていないが、日本でも中国でもとにかくさまざまな店を

趣味と実益を兼ねて食べ歩き、熱心に味を探求されている

無手勝流の自由な料理人という印象を抱いた。

中国料理店にかぎらず、話のなかに、飲食店の店名がいったいいくつ登場しただろう。

メモにもとうてい控えきれなかった。

好きなことを追い求めるうち、いつの間にかたどり着いたのがいまの店で、

きっとこの先も、シェフの探究心の赴くままに、変化をつづけてゆくのだろう。

板橋を特集した雑誌にはほぼ必ず掲載されると語った彼だが、

テレビの取材は受けないという。

「料理の特集じゃないんだよ。狭くて面白い店とか、そういう切り口の話しか来なくてさ」

やはり、料理人としてのこだわりと矜恃を持っているのだ。

じつにユニークな店で、予想どおり、まちがいなく人を選ぶ。

この日、1人当たりの会計は、約5,000円

「お酒(の代金が)、半分になっちゃいましたよ」とのこと。

3時間以上の食事を終えて店を出ると、疲労にも似た開放感をおぼえていた。

蜃気楼の戸口をくぐる。

それは、たんに飲み食いするにとどまらない濃密な体験を意味するのだ。 そう感じた。

あの、こだわりの料理とご店主に会いたい――その渇きにも似た思いが

溢れたそのとき我々はまた、オアシスを求める砂漠の旅人のように、

蜃気楼を追って板橋を訪れるのだろう。

 

蜃気楼(シンキロウ)

東京都板橋区板橋1-33-1

TEL     03-3964-6657

営業時間/ 19:15~22:00

定休日    日曜・祝日     -店舗情報「食べログ」より-

大きな地図で見る

※中国料理満足度数は、3.8~5.0

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