マツシマ 代々木上原
「マツシマ」
当店のオープンは2016年3月1日。
オーナーシェフ、松島氏はマニアックな中華を好む方々の間では定評の高い
中国郷土料理「黒猫夜」赤坂・六本木で腕を振るってきた人物です。
場所は大人の距離感が保てる街、代々木上原。
南口から徒歩2分ほどの利便性の良い立地ですが、隠れ家中の隠れ家!
あまりにさり気ない看板のため、何度となく店の前を通り過ぎ、ようやく発見しましたよ。
間接照明を効果的に取り入れたシンプルですっきりした店内は厨房前にカウンター席(4)を配し、
テーブル席は2卓という小体な造り。食べログ情報では席数11席とのことですが、
店はシェフとフロアを担当する奥様との2人体制なので、ストレスなく切り回すには
丁度良い席数かと思います。
予約の電話を入れたところ、2名だとカウンター席への案内になるとのこと。
はじめての訪問ですが、シェフと対面できる特等席を引き当て、小さくガッツポーズ!
テーブルクロス:なし
卓上調味料:なし
着座後:タオルおしぼり(トレー置き)、荷物置き用の籠(足元)、ドリンクメニュー
コース料理を事前予約しての訪問。
説明によると、スタンダードなコースは5,000円で、入荷のあるコアな食材を含んだ
民族系メニューだと、その上のお値段(6,500円、8,000円)になるそう。
まずは、店の基本の味を知りたいので、5,000円でお願してあります。
当日、卓上への菜譜の用意はなく、サーブ時に口頭説明を受けるスタイル。
料理は2名分を一緒に盛り付け提供されるので、各自で取り分けます。
前菜盛り合わせ(2名分)
①子持ち昆布、腐乳天ぷら
②マサバの烏龍茶スモーク・・・スモーク香が食欲を焚き付けるマサバは脂の乗り加減もよく、
しっとりと旨み豊かで酒を誘います。
③鮟肝五香煮・・・五香粉で調味された鮟肝はねっとりと甘美な味わい。こちらも酒と好相性です。
④赤カブの甘酢漬け・・・さっぱりとした甘さで箸休めにもぴったり。
⑤香港式自家製叉焼・・・肉をタレに漬け込み、表面に蜜を塗り香ばしく焼いた
港式のハニーローストポーク。
⑥白子の湯引き麻辣ソース・・・白子のとろりとした舌触りをピリ辛の麻辣ソースで味わう。
若干醤油が勝ちすぎた感もありますが、味は悪くありません。
(レンタロー) 細長え取り皿もらえるで、銘々で分けるだ。
この形はアイデアだな。皿の交換で忙しなくならねえ。
前菜の中で、自身が最も気に入ったのが子持ち昆布の腐乳天ぷら。
カリッと揚がった衣と卵のふっくらプチプチとした噛みごたえをダブルで楽しめ、
腐乳独特の強いクセは抑えられていますが、コクはしっかり。
食べやすくて、味のバランスも巧みです。
腐乳天ぷらは、いろいろ応用が利きそう。注目したいメニューかと。
次の温かい前菜も2品が一緒に盛り付けられています(2名分)。
①麻辣皮蛋・・・薄衣をつけ、さっと高温で揚げた皮蛋と麻辣花生&香脆椒。
個性的な組み合わせにドッキリ。味がぶつかり合うのではないかと思ったら、互いを邪魔せず、
カリカリとした歯触りをアクセントに、皮蛋のコクが麻辣風味に調和。おつまみ力に優れた1品。
②鴨の舌の香りいため・・・中心に軟骨があるので周りの肉を刮げるように手掴みでいただきます。
鴨舌は醤油をベースとするタレに漬け込んであるので味はしっかり。
仕上げはスパイスの香りを移した油で炒められ、外側はカリッと香ばしく、中はジューシーで、
もちろん臭みなどはありません。
水蓮菜のにんにく塩炒め(2名分)
シャキシャキとした食感が心地よい台湾野菜の水蓮菜。火入れ加減が絶妙で、
きっちり効かせた塩とニンニク、油、出汁が一体化し、「乳化」という言葉を使いたくなる
味のまとまりがあり、皿に残った汁も飲み干せる美味しさです。
スモークした干筍の湖南田舎炒め(2名分)
ほか具材は、豚肉、セロリ、甘長とうがらし。
湖南炒めと言うので、突き抜けるような爽快な辛さをイメージしたのですが、
スモーキーフレーバーの香りが立った炒めもので、黒胡椒が効き、辛さ自体は控えめで、
干筍の旨みがたっぷり。
話によると、現地では甘長とうがらしではなく、青唐辛子を使うそうですが、
辛さに耐性のあるお客様ばかりが来店するとは限りません。
したがって、代打で起用しているのです。
馨しい香りに凝縮した旨み。スモークした干筍はもはや調味料としての役割を果たしています。
主観ですが、同料理に合わせる肉は豚肉より、クセのあるラム肉のほうが面白いかも。
豚肉がとても淡白に感じました。
上海蟹みそ入りくずし豆腐(2名分)
塩味をベースに生姜をがっちり効かせ、干しシイタケのコクが加勢する上海蟹みそ入りくずし豆腐。
正直なところ、シーズン終盤でみそより身の方が活躍しているように思えましたが、
繊細な甘みが口に広がり風味は十分。
柔らかく滑らかな豆腐とともに白飯にONしたくなるまろやかで旨みのある味わいです。
鮟肝五香煮@880
(寝太郎) 紹興酒がまだ残っているからね。メインの料理に入る前に僕が気に入った
鮟肝五香煮を単品で追加注文したよ。
前菜時は、ひと口で食べれる大きさのため、味の強さを意識しませんでしたが、単品で味わうと
改めて濃さと甘さを痛感。酒の肴にうってつけで、チビチビ舐めながらが似合いますが、
2人だと前菜サイズでいただく方が有り難さたっぷりかも。
黒酢の酢豚(2名分)
サーブ時、黒酢の芳しい香りが鼻孔をくすぐった。
黒々と光沢を放つソースに浮かぶ具材は肉とジャガイモです。
以前「黒猫夜」六本木店さんで食べた酢豚は視覚的にダイナミックに映るものでしたが、
それと比べると少しドレスアップした感じ。
まだ洗練されきってはいませんが、1枚の皿にソースを敷き詰める、フレンチの技法が冴えた
「御田町 桃の木」さんを目指しているのかしらとも思ったり。私達の間で想像が膨らみます。
衣をつけて揚げた豚肉にナイフを入れると、難なく切れる柔らかさで、露出した肉の繊維に
胸の高鳴りを覚える、わくわくタイム。
黒酢の酸味とコクに五香粉が効いた濃厚なソースは、肉々しい酢豚に並び立つことのできる
厚みのある味わいに仕上がっています。
(ノブロー) オラ、対面時は煮込みハンバーグかと思ったよ。モダンな味わいだで。
麻婆豆腐(2名分)
(ノブロー) 白飯は銘々に提供してもらえただ。
白飯にON!豆腐は木綿タイプで、肉は牛豚合挽き肉を使用。
油使いが巧みで、牛肉が入ることよってコクが深まり濃厚で、スパイスが複雑に効き、
辛味、甘味、旨味が共存。強いて例えるとチリコンカン的な味の魅力があり、際立った美味しさです。
聞くと、最初に豆板醤などを炒め、油を辛くしてスタート。
牛肉にはバラ肉を使うため、その脂が味の深化に働いているらしく、
お客様の中には肉は羊肉ですか、と尋ねる方もいるそうです。
マサバの烏龍茶スモーク再び。白菜の甘酢漬け山椒風味が器に並びます(コース料理外)。
メニュー構成が好奇心を刺激し、2人でも楽しめるコース料理。
スタンダードなコースはグランドメニューから組み立てているようですが、
料理すべてが勝負球ですから、ポーション少なく、いろいろ楽しめお得感たっぷり。
また、味付けは総じて濃いめではっきりした印象ですが、民族系の料理からシノワまで幅広く、
創造性豊かにお洒落なだけでなく、しっかり中華を感じさせてくれるのです。
(寝太郎) 味に真っ直ぐさとと力強さ、勢いがあり、僕は好きだね。
中国人シェフや他のお店ではなかなかできないようなことをやっていて、振り幅の面白さがあるよ。
こういうお店が合ったらいいなあと、求めていた一軒だから、支持したいなあ。
食後の烏龍茶は耐熱ガラスティーポットで提供。
生ビール@700×3、即墨老酒(グラス)@900、 孔乙己8年・ボトル(浙江省・紹興市)@3,800、
唐栄伝統型10年・ボトル(浙江省・紹興市)@4,200を注文。
当店、お酒に合う料理も豊富なので、酒飲みにはパラダイス。
また、ボトルは店側で管理し、奥様がチェイサーの水ともども、注ぎ足しのタイミングに
気を配ってくれるから至れり尽くせりです。
お会計は、テーブルチェックでお願いし、1人当たり12,000円(千円未満四捨五入)。
毎度のことですが、私達の場合は酒代の占める割合が高いため、上記金額となっています。
シェフと会話を楽しみながら、奥様のきめ細やかなサービスを受け、そのアットホームな
雰囲気も心地よく、ゆっくりさせてもらいました。当店は私もお勧めしたい一軒であります。
マツシマ (Matsushima)
東京都渋谷区上原1-35-6 第16菊地ビル B1F
TEL 03-6416-8059
営業時間/月・火・木~土 18:00~24:00(L.O.23:00)
日・祝 17:00~23:00(L.O.22:00)
定休日 水曜日 -店舗情報「食べログ」より-
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